人生詩集・番外編

シャネル五番・1

シャネル五番が香る婦人のかたわらを
なんの用があるわけでもなく ときにふざけて また意味のない言葉などを発しては
つかず離れずしている少年がいる
客の婦人は少年の母と談笑しながら ときに少年にほほえんでみせ また母の手前か
ボンボンをやるように 褒め言葉などを少年にくれてやる
婦人にとって少年など ただの犬か猫 一人前になるのはいつのことかしら…でしかない
でももし この時婦人が少年の内なる思いを知ったなら?…いったいどんな顔をしたことでしょう

許されるなら少年は 婦人のうなじに顔を近づけて 間近の婦人を感じつつ
匂いを嗅いでいたかったのです そしてできるなら 
襟元のあいたワンピースから手をさし入れて その背にふれてもみたかったのです
もしそれでもなにも云わぬ婦人なら?…少年はどれほど有頂天になったことで しょう!

                 【シャネル五番…?】
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