人生詩集・番外編

シャネル五番・2

母と婦人が笑ってます 顔を真っ赤にした少年が
障子の向こうへと逃げ出して行きました
うぶな子供の欲情と ふたりは許してくれた けど はて 天使だか悪魔だか
その時のスリリングさと喜びが 少年の心の中で 
いつまでも続くものだとは ふたりは考えもしなかったでしょう 
女性女神派はけっして大人になれないとか 存外に 業深きものなのかも知れません…

シャネル五番の妖力は 少年を少年でいさせ続け 
異性を異性としか見させない 無明への媚薬のそれ 
さても、マタタビに恍惚となる猫のように
彼はそれをずっと、
嗅いで 
いたい…?

                 【その背に胸に指を…】
< 9 / 17 >

この作品をシェア

pagetop