ヤンキーくんたちに溺愛されてます!
「今日くらいはサボっちゃお。一緒にね」


「な…っ」



そんなのダメだ、と北斗くんの手を振り払えなかったのは、誰かに連れ出して欲しいと願っていたからかもしれない。





北斗くんに連れてこられたのは、学校の近くにあると知ってはいたけどまだ一度も来たことのなかった海だった。


穴場スポットなのか、平日の日中に砂浜を歩いている人は誰一人いなくて波の音だけが静かに響いている。



「ここはね、俺が一人になりたい時とか落ち着きたい時に来ていた場所。…今の星奈ちゃんにぴったりかな?」



私を心配して、わざわざ秘密の場所に連れてきてくれたのかな…。


北斗くんの優しさに、胸に抱えていたモヤが自然と顔を覗かせる。



「…この前、学校に美来さんが来た日。あの日の放課後にもう一度美来さんと会って話したの。琥珀と付き合っていた頃の話も、聞いた」


「うん」


「美来さんは本当は浮気なんてしていなかったって言ってた。…琥珀に嘘をついたんだって」



そこまで話したところで、後ろから誰かに肩を叩かれた。
< 64 / 214 >

この作品をシェア

pagetop