ヤンキーくんたちに溺愛されてます！
「浮気は嘘だった。でしょ？星奈ちゃんからそう聞いたよ、さっきね」



愛武さんが弾かれるようにして顔を上げた。



「…そうか。美来がある人には本当のことを話したって言ってたけど、星奈ちゃんのことだったのか…。あいつ、帰ってきたくせに昔と変わらない目をしてんだ。後悔と希望をなくした自分の行く場所がわからない。そんな目を」


「…愛武くんは昔からあいつのことを気にかけるけど、そんなことする必要ない。放っておけばいいんだ。琥珀も…星奈ちゃんも、あいつの言うことを全部真に受けるから振り回されるんでしょ」


「北斗…。美来はずっと一人で苦しんでたよ。おまえが琥珀を大切にしてくれてるのはありがたいと思ってるけど、だからって美来の嘘で目の敵にするのは違う…」


「わかってんだよ！あいつが最初から浮気なんてしてないことだって、俺は知ってた！そんなこと全部わかってんだよ。結果的に、あいつは琥珀を傷つけた。それだけは何が嘘で何が本当だったとしても変わらない。それを俺は絶対に許さないってだけだ」



北斗くんが声を荒げる姿なんて初めてで、しばらくは何も言葉を返せなかった。


やっと絞り出せた声もみっともないくらいに掠れていた。



「…美来さんは、高校を卒業したら遠くの短大に行くから地元を離れないといけない。琥珀との遠距離で、会える日が今よりも確実に減るからずっと不安だった。だけどそんなことまだ中学生の琥珀に言えないし、遠距離の自分なんかよりもこれから先の出会いを大切にして欲しいと思った。そのことを男友達に家の近くの公園で相談してたら、たまたま琥珀に見られて咄嗟に男友達を抱き寄せて、実はずっと前から浮気をしていたと嘘をついた。それを信じた琥珀は走って逃げちゃって、美来さんはメールで別れるとだけ告げて何も言わないで琥珀の前から姿を消すことを選んだ。琥珀の中で、最悪の印象をつけさせてでも自分のことを忘れて欲しかったんだって」
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