DEAR 1st SEASON
プロローグ
あの頃のあたしは
どこかしら冷めていて
何に関しても臆病で
何をやっても中途半端で
もがけばもがく程、
弱音ばかり口から零れていて──……
……悲しいことに
マイナスの言葉を並べれば並べる程
あたしにはそれらが
どれもピッタリで……。
───たとえば。
水の中での魚は
泳ぐのが当たり前なら
人は生きていくのが
当たり前なの?
……そんなことをただ漠然と考えてみたりもした。
────もしも。
水の中で溺れている
魚がいたとしたら
それは間違いなく
あたしだと思う。
生きるべく場所で、器用に生きていけない。
与えられた環境に適応なんか出来ない。
そんな
生きていくことが
あまりにも不器用な魚。
それがあたし。
………ねぇ。
でも。
あなたに出逢ってからは
水の底から何とかあなたに近付きたくて
何度も何度も泳ごうとした
また生きていく意味を考え直したりもした。
少しでも“人間”らしくなりたかった。
───人魚姫のように。
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