DEAR 1st SEASON
第5章 救世主
第5章 救世主
第5章 救世主
─────……
……。
瞼が開く。
開いた目には、天井からぶら下がっている蛍光灯の光。
──…あぁ。
さっきの光はこれか─…。
思わず眩しくてその光をよける。
……今のあたしには光なんか必要じゃない。
「……………」
辺りには血の海。
綺麗なレッドに彩られたフローリング。
…………ぐにゃり。
またぐにゃりと視界が揺らぐ。
…………死ねなかった。
死ねなかったんだ。
意気地なし。
中途半端。
消えたいのにまだ生きてる。
深い深いナイフで彫られた手首の傷。
死に損ないの証。
…その時、
ふいに下の階にいるお母さんが気になった。
──もしお母さんが。
あたしがここで手首切って死んでるの発見したら、
どうなるんだろう…
…きっとお母さん、悲しむね。
発狂するかな。
…ううん、絶対にそんなんじゃ済まない。
─…きっと。
命がある限り、
生きていくにも死んでいくにも責任がある。
このまま死んでいくのは世界一親不孝者。
そんなんでいいの?
こんなとこであんな理由で死んでいいの?
お母さん悲しませていいの──…?
……ううん。
「─────ダメ………」