DEAR 1st SEASON




────……!!


………ウソ………。




目の前の映像に、
体が金縛り状態になる。




だって目の前であたしを庇ってくれていたのは─……








「……朝……岡さん…?」






───そう。



あたしを抱え込むようにして、自分を犠牲にしている朝岡さんの姿が在ったんだ──…。





「…彩、大丈夫か?」





「何…でっ……?」





思わず涙が溢れた。





だって朝岡さん…





「───ケガしてる……っ」




「泣くなって。

俺は大丈夫やから。」





そう笑う朝岡さんは、あたしの代わりに右頬を強く殴られていて。





唇からは血が流れていた。





大丈夫じゃないよ─…




全然大丈夫なんかじゃない…





「───…ごめ……

あたきのせいだ…」




「いけるから。

彩、ちょっと走るで。」




「………え……?」





──そう声を上げる隙もなく。





「走れ!!!」





あたしは朝岡さんに強く手を握られ、走り始めていた。

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