DEAR 1st SEASON
「……ううん…」
これくらいしか出来る事が思い浮かばない自分が腹立たしいよ……。
しばらく頬を冷やし、
だいぶ時間が経った頃…。
「彩、家この辺なん?
遅いから送っていくわ。」
「ありがと…。
朝岡さんは家この辺?」
「うん、実家はこの辺。
わりと彩と家近いかもなぁ。」
「一人暮らししてるの?」
「してるよ♪
大学遠いから。
今日は偶然こっち帰って来ててん。」
「そうなんだ…
じゃあ今日は本当に偶然だったんだね…」
「良かったよな。
すっげぇ彩の顔好みやから、殴られたりしたら俺めっちゃヘコむ。」
……………え………?
先に歩く朝岡さんの背中を見つめながら足が止まった。
……って……。
んなワケないか…
軽い冗談だろうな。
……うん。
ないない。
「もーそんな事言ったって何にも出ないよ?」
「………え?
いや初めて会った時にも言わんかった?
──“俺の好み”って。」
─────…
そういえば…
確かにそう言ってたっけ…?
いやでも!
お世辞だお世辞!