DEAR 1st SEASON
心臓が確実に早く動いている。
その度に体や顔に変化が出そうで、それを隠すのに必死だった。
「……これ…
一週間前に転んだの…
彩ドジでしょ?」
言葉がうまく繋がらないうえに引きつった笑い。
───朝岡さんは何も言わない。
…絶対に…
ウソだってバレてるよ…。
「…ほんまに?」
「……うん。」
「───誰かに殴られたとかじゃないよな?」
─────ドクッ…。
「……ちが…う……」
弱々しい否定。
否定しながら泣きそうになっていく自分を必死に制御する。
「…ならえぇよ。
よっぽど酷い転び方やったんやな。
さっ帰ろか?」
そう言って笑い、
朝岡さんはあたしの荷物を持ち、歩き始めた。
……どうして……?
どうして分かったの…?
ぶんちゃんはここまで鋭く気付いてくれなかったんだよ……?
───困った時に目の前に現れた二人の救世主。
それはぶんちゃんと朝岡さんかもしれない。
…そんな事を思いながら、あたしは朝岡さんの背中を見つめた。