DEAR 1st SEASON


突然、自分の周りの音が無音になった気がした。


自分自身がとてもちっぽけで空っぽで虚しくて惨めで。


嫌でも彼女と自分を比べてしまう。





「………や?

ねぇってば!!

あーやっ!!!!」




「………え……」





あれ…
誰かに呼ばれた…?


ハッと我に返り、慌ててクルリと後ろに振り向く。


そこには──…。




「ナナ──…」


「おはー★」




ナナがいつものように元気いっぱいの姿で立っていた。


…けれど、ナナは1秒もしないうちにあたしの様子を察知した。




「……何?

どうしたのさ、暗い顔して…。」



「ナナぁ……」




もう……


涙腺のブレーキが効かない。



声も普通に出せない。

笑えない。

痛い。


心が、

全身が痛い……。



ナナはそんなあたしを見て、パッとあたしの手を握った。




「いこっ?」


「え?」


「ナナ、まだ朝ご飯食べてないんだよ~。

付き合って?ね?」




そう言ってナナは片手のコンビニ袋をあたしに見せ付けた。





「付き合うって……」



「いーからっ!
学校サボるよっ!!!」





そう宣告した後、

ナナは強制的にあたしを学校の外へと連れ出した。
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