DEAR 1st SEASON


「……さぁ……
名前まで聞いてなかったわね。

でも、すごくかっこいい人よー?」




お母さんが語尾を上げて、わざとらしくあたしを見る。




その視線をはぐらかすかのように顔をそらし、頭を捻った。





………かっこいい人……?




……………。




まさか……



………ぶんちゃん?



だって…



だってぶんちゃんならあたしの家を知ってる。




もしかしたら──…。





弾む鼓動を抑え、
あたしは素早くベッドから起きて玄関へと足を動かした。





……と、そこには。








「………彩………」






────…ドキン……。





───…そこには






「──…朝岡さん…?」





そう。


思わず目を疑った。




そこには少し掠れた声であたしの名前を呼ぶ朝岡さんがいたんだから──…。

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