DEAR 1st SEASON


「朝岡さん、いつも謝ってばっかり…。」




「いやほんまに悪いと思ってるからやで?
じゃないと謝れへんよ。」




クスっと笑いながら、
朝岡さんはあたしの頭に軽く触れた。




優しいんだね──…。

わざわざ家の場所を聞いて来てくれた事も。


わざわざ謝りに来てくれた事も。


今こうして頭に触れている手の感触も。


眼差しも笑顔も、全て。



何もかもが優しくて、
穏やかな雰囲気が包んでくれる。





「ありがとう。」




口から自然と出た、“ありがとう”。




朝岡さんは優しく笑ったまま頷いてくれた。



しばらく夜の道を走って、何時間後。


再び家に帰った時には、何だか優しい気持ちになっている自分がいた。




“頑張ろう”。



心の底からそう思えた。

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