DEAR 1st SEASON


ナナが置いた紙を黙視。




「…なにこれぇ…」



でも、訳が分からずナナを見上げる。

紙には、夏休みの課題の紙だ。



「何って、面白い事じゃぁん♪」



……?



ナナが得意気にフフンと笑う。


でもあたしにはサッパリだ。




「…課題が面白い訳?」


「やり方次第でね♪」



「…はぁ?」



「も~!!この鈍チン!!

よく見ろ彩!
この課題は何の課題よ!?」



何……って……。




「………美術?」


「そう!!」


「だから何……」



「あーもう!
美術の課題は、夏休み中に美術館に行く事でしょ!?」



「……うん。」




あたし達のクラスは美術選考だ。


美術の夏休みの課題は、
美術館に行って自分が気になった作品何点かの評価レポートを書く事。



もちろんそれは──…。



「あ、そっか♪

ナナ、一緒に行こう?
気付かなくてごめんごめん♪」




あたしがそう言うと、
ナナは堪忍袋が切れたようにあたしをキッと睨んだ。




「違うこのバカ者!!
あたしとじゃなくて高山さんと行くの!!!!」




─────………。




「え?」



いや、待って?

誰とだって?



「このチャンスを生かさないでどーする!
美術の課題餌にして高山さんとデート出来るじゃん!」




「えっ!?えぇぇぇ?」




そんな…



高山さんを…

誘えっての………?




「ナナは彩と行かん!!」




そうキッパリ言い切るナナに……


ただただ開いた口が塞がらなかった。

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