DEAR 1st SEASON




「で、でもさ?
高山さん彼女いるんだよ?

誘っていいのかな…?」



あたしが戸惑いながらナナを見ると。



「誘っていい!
高山さんが彩と行きたくなかったら断るでしょ。」



「そんなアッサリ…」



「いやーでもナナが言う事間違ってないよ?

二人で出掛けれるのは、
ある程度好意がなけりゃ成立しないもん。」





………そうだけど…。


ナナが言う事間違ってないけどさ…。




「断られたらショックじゃん…。」




この一言で、ナナは再び鼻息荒くあたしに雷を落とし始めた。



「それくらいのショックなら、高山さんに恋なんかするんじゃない!

これが美術館の誘いじゃなく告白だったらどうする訳?」




「………」




確かに…


告白してフラれるよりか、美術館断られたダメージの方が軽いに決まってるだろうけど…。




「それに、彼女に遠慮するくらいなら高山さんに本気だとは思えないね。

彼女がいるって分かってて好きになってるんだから、当たって砕ける位の勢いで行かないと無理だよ無ー理!!」




ナナがそう言ってあたしの頭を小突く。



「…そうかな…。」




あたしがナナを見上げると、ナナはニッコリ笑った。




「動かないと何も始まんないよ?彩。」





………そうだね……。



多分やろうとしてる事、むちゃくちゃだけど…。



勢いって大事だよね…?


もしあたしに好意も何もなかったら断るよね……?





「誘って…みる。」




あたしがそう言うと、ナナは優しく笑ったまま頷いた。

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