DEAR 1st SEASON


───放課後。


今日はタイミングよく、部活の日。




「──よーし!
じゃ、今日はここまでにしようか。」



ぶんちゃんの声が部室に響く。



みんなが太鼓を片付け、着替えに行く時。


何故かぶんちゃんと目が合い、あたしは安易に動けなくなった。




「………」



──あれから。



ぶんちゃんとは普通に接していた。




…いや、

『普通に接するように努力していた』

という方がいいかもしれない。



ぶんちゃんが部活に現れなかった理由も、彼女がいる真意も。



……何一つ、聞いてはいない。


ううん、聞けない。



聞いたらどうなる?



答えは簡単。



そう、自分が惨めに思うだけ─…。




それでも。


諦めきれない気持ちを表す唯一の表現方法がある。


それは、耳にぶんちゃんから貰ったピアスを付ける事。




あたしの小さな小さな反抗──……。




もちろん、
ぶんちゃんの耳に同じピアスは光ってはいない─…。
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