DEAR 1st SEASON




「どうしたの?」


「あっ…ううん…」




さっきから、上の空。

立場わきまえなきゃね…。


結局、あたしは後輩にかわりないんだろうし。


“特別”だなんて思っちゃいけないんだ…。




…はぁ。


楽しみにして思いっきりオシャレした自分が何だか恥ずかしいよ…。




「…彩?聞いてる?」


「えっ?あ、何…?」



ダメ!
とりあえず今日は楽しもう!!


これ以上マイナスになって自滅したくないし!



そう思った瞬間。





「彩、今日可愛い。」




……………………。




ん?

んん?


“可愛い”…?





「じ、冗談やめてよ?」


「冗談でこんなこというかって。」




…………。



顔が真っ赤になる。




本当?

ぶんちゃんの為にしたオシャレ、無駄じゃなかった?



嬉しい………。



あたし、けっこう単純な生き物なんだね。



さっきまで底なしの海に落ちた気持ちだったのに。


今は、羽が生えたみたいに有頂天だよ。

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