DEAR 1st SEASON



電車に揺られ、
ぶんちゃんにも揺らされ。



あっという間に二人は美術館へと辿り着いた。


美術館は思った以上に混雑している。




「すごい人だね…」



「彩チビだもんな。
俺見失いそうだわ」



「えっ!!
はぐれるのやだ!!」



……………

……………って……。




な、何て事を口走ったんだ。




勢いがあたしの中でブームとはいえ、今の発言は素直過ぎじゃない?


穴があったら入りたい!




顔が真っ赤なあたしに、頭上からくすりと笑い声が聞こえる。





「………ほら。」





……………?


声に反応して顔を上げると、ぶんちゃんの手が見えた。



…………え?




これはどうしたら?



ポカンと立ち尽くすあたしに、ぶんちゃんはその手をあたしに重ねた。





──────!!!





「繋いどこ。
俺もはぐれたら嫌だから。」




そう言って、あたしの手を握ったまま先を歩くぶんちゃん。




待って待って待って。



嬉しすぎる。



心臓に電撃走って、息がうまく吸えない──…。




もう──…


穴があったら二人で隠れたい──……。
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