DEAR 1st SEASON
「……でも?」
ドクン、ドクン─…。
動揺しないって決めた筈なのに、あたしも意志が弱い人間だ。
…いや、動揺しないで普通にいられる方が可笑しいか……。
ぶんちゃんが、そっと続きを語った。
閉ざしていた、重い口を開けて──…。
「…なんていうかな…
……まぁ……
“裏切られた”かな…。」
ふっと悲しく笑うぶんちゃんに。
何故か、他人であるあたしまでもが悲しくなった。
裏切られた……?
「一体どうして…」
「───最近、他のヤツとしてるの見たから…」
────…は……?
今でも忘れられない。
ぶんちゃんが、あんなにも凍てついた氷の微笑を見せたのを。
「───…してるのって……。」
「キスだよ。
…公衆の面前の駅でね。
あいつを送った後に、
言い忘れた事あって戻ってみたら……」
そこには、裏切り行為があったのだという。
「数秒前までは俺と話してたのに、戻ったら違う男と……。
まぁ……
まんまと、“裏切り返し”された感じかな。」
ぶんちゃんはそう言って付け加えた。
“人を100%信じきれない”、と。
あたしが思っていたことと全く同じ事を口にしたんだ──…。