DEAR 1st SEASON
第8章 恋人

第8章 恋人

第8章 恋人




───夏休みが過ぎていく。



時間だけが、
ただ流れていく。



………夏が終わる。




暑くて暑くて、
ただひたすらに胸を焦がしていた夏が。




……あれから。



あたしとぶんちゃんの距離が、
特にすごく縮まる事はなかった。



毎日一緒に帰って、
何気ない話を繰り返す。



何気ない会話の中に、
一つずつ宝物を見つける。




たとえば、
ぶんちゃんは何人兄弟か、とか。


好きな物、色、場所。


中学校や小学校の思い出。


そんな核心には一切触れない何気ない会話。





……8月、半ば。

短い夏が去っていく。




今日もまた、
何ら変わりない1日が過ぎようとしていた。




部活して、
帰りはぶんちゃんと一緒だろうなぁ。



今日は何話せるかなぁ…。





………そう。



だから、


まさか“変化”が訪れるとは思ってもいなかった。

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