DEAR 1st SEASON


──…それは、
たまたま耳にした言葉だった。



部室でジャージから制服に着替えていた時の事。



チヒロさんと、アミさんが話し込んでいる声が偶然聞こえて来たんだ。






「……ねぇねぇ知ってた?」


「何を?」





「ぶんちゃんが別れたって───…」





──────!



ドクッ………!





“ぶんちゃん”。




その言葉に、

もう耳には免疫が付いたんだろう。



いとも簡単にぶんちゃんに関する情報を拾い集めてくれる。




“別れた”──…?





ぶんちゃんと彼女が?


本当に……?




足に力さえ出なくてフラフラで部室を後にする。




すると──…。







「ねぇ、まさかぶんちゃんが別れた理由って…」





「意外に彩ちゃんだったりして?」






───…かぁぁぁあっ。




ばっ…



バッチリ聞こえてるんですけど─…。





あたしがいなくなった瞬間に、二人の興奮した黄色い声が聞こえる。




頬が薔薇色に染まる。




──『今日、話したい事があるんだ。』──





さっき、

ぶんちゃんにそう言われた言葉がふいに脳内を回った。

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