DEAR 1st 〜 SEASON〜
胸が、とてつもなく苦しい。
どうして、
朝岡さんはあたしがこんな状況の時にいつも現れるの?
どうして、
いつもあんな人混みの中から見つけてくれるの─…?
分からないよ─…。
息が詰まりそうだよ…。
しばらく歩き続けて辿り着いた先は、人が少ない体育館の裏。
「朝岡さん…
チカさんは?
心配かけるんじゃ…」
“彼女”という存在に、
極端に過敏になっていたあたしは、たとえ人の彼女でも無意識にその存在に気を使っていた。
「心配せんでえぇよ、
チカは帰ったから…」
「そう……
何か…ごめんね…」
俯き、再び泣き出すあたしの涙を朝岡さんは心配そうに拭った。
「……さっき、今の今まで笑ってたやないか…
ほんまに…
どないしたん…?」
朝岡さんが心底困ったように顔を曇らせる。
「…だっ…て…」
「───ぶんか?」
ストレートに、かつシンプルな質問だった。
あまりにも的を得ている質問に、小さく頷くしかない。
「何か言われたんか?
ケンカしたんか?」
「…ううん…」
───ここで気がついた。
朝岡さんに、
あたしとぶんちゃんが付き合っているのを、まだ報告していなかったんだ──…。