DEAR 1st SEASON


「……ありがと…」




そう言うと、朝岡さんはただ微笑むばかりで。


あたしもそのまま笑顔を返し、ぶんちゃんがいる場所へと走って行った。






「───ぶんちゃん!」





そう叫ぶと、ぶんちゃんはサッとこちらを振り向いて。





「彩!」



……そう言われたと同時に、ふわっと抱き締められていた。



ぶんちゃん……





「──…良かった…

マジで心配した……」




「ぶんちゃん…

ごめんね……」




「俺もごめん。

最近よく喋りかけられるから、無視出来なくて…



でも今日の彩を見て思った。



─…俺は、今彩がそうやって泣いてる姿を見る方が悲しい。



ごめん───…」





「────…」




甘い甘い匂いが、胸に掻き込むように入って来て。




──…この胸の中にいていいんだ。




もう許されているんだ。




居場所はここなんだって……。





やっと、見つけた。


もう怖がらなくていいんだ。



信じる事で、

素直になる事で。


自分の居場所を確立出来るものなんだ。




あたし──…。


この居場所を大事にしたいよ──…。



願わくばずっと。



ずっと───…。
< 207 / 274 >

この作品をシェア

pagetop