DEAR 1st SEASON
「……ありがと…」
そう言うと、朝岡さんはただ微笑むばかりで。
あたしもそのまま笑顔を返し、ぶんちゃんがいる場所へと走って行った。
「───ぶんちゃん!」
そう叫ぶと、ぶんちゃんはサッとこちらを振り向いて。
「彩!」
……そう言われたと同時に、ふわっと抱き締められていた。
ぶんちゃん……
「──…良かった…
マジで心配した……」
「ぶんちゃん…
ごめんね……」
「俺もごめん。
最近よく喋りかけられるから、無視出来なくて…
でも今日の彩を見て思った。
─…俺は、今彩がそうやって泣いてる姿を見る方が悲しい。
ごめん───…」
「────…」
甘い甘い匂いが、胸に掻き込むように入って来て。
──…この胸の中にいていいんだ。
もう許されているんだ。
居場所はここなんだって……。
やっと、見つけた。
もう怖がらなくていいんだ。
信じる事で、
素直になる事で。
自分の居場所を確立出来るものなんだ。
あたし──…。
この居場所を大事にしたいよ──…。
願わくばずっと。
ずっと───…。