DEAR 1st SEASON
第9章 過去―三年前―
第9章 過去―三年前―
第9章 過去─三年前─
─────…11月。
秋は更に深まりを見せ、
窓から見える木々は色鮮やかな葉を、こぞって見せつけている。
……こんな紅葉も何週間もすればすぐに散って、瞬く間に冬が来る。
「あ゛ーっ!もう!」
「なっ…、何なに!?」
休み時間ナナが急に叫び出し、のんびりしていたあたしは慌ててナナを見た。
「……冬の限定コスメが欲しい。」
ナナが雑誌を見つめながら、物欲しげに訴える。
雑誌には、一足早く煌びやかなクリスマス限定コフレが掲載されていて。
心が躍る可愛いポーチやグロス、ネイル、アイシャドーや手鏡──…。
数を挙げればキリがない。
「…買えばいいじゃん?」
あたしがもっともな意見を言うと、ナナは悲しげに雑誌にうち伏せた。
「……お金がない………」
「…………」
…んーと。
これには何と声を掛ければ?
ナナは食べ物の他に、
メイクやファッションにも目がない。
雑誌のコスメに顔を埋めるナナをしばらく見つめていると。
「──そーだっ!」
「!?!?」
───ガバッ!
「バイトすりゃぁいいんじゃーんっ♪」
「………」
何という素早い思考回路。
呆気に取られているあたしを放って、ナナは鼻歌交じりにバイト情報誌を広げ始めた。