DEAR 1st SEASON
「彩はバイトしなくていい訳?」
「………へっ?」
あまりに突拍子な質問に、そんな間の抜けた返事を返すと。
ナナは必死にペラペラと雑誌をめくって、あたしに見せ付けた。
「……もう彩は!
これ見てみな!」
──…目の前に叩きつけられたのは……。
「……クリスマス特集?」
「そう!」
その特集には、
ペアもののアクセサリーやグッズ、雑貨がズラリと並ぶ。
──…タイトルはズバリ。
「…“クリスマスプレゼント”…?」
…………ハッ!!
そこでナナとは違い、
あたしの遅い思考回路が回り始めた。
「…そうだ…
もうクリスマスじゃん…。」
──…初めて過ごすクリスマス。
でもって、あたしには恋人と過ごすクリスマスも初めてなワケで……。
「…プレゼントは?
服は?メイクは?」
…………。
ナナの質問に、サッと血の気が引いていく。
「…そうだ……
どうしよう……。」
今まで気にもしなかった雑誌についつい目が行く。
コスメ。
ブーツ。
ワンピ。
コート………。
何で今まで物欲が湧かなかったのか不思議なくらい。
どれもあたしが欲しい物ばかりじゃないか。
「……ヤバい……」
助けを求めるようにナナを見つめると─……
ナナはにーっこり笑って、バイト情報誌をあたしにも向かって広げた。