DEAR 1st SEASON
……二週間後。
「いらっしゃいませー♪
クリスマスケーキ、いかがですか?
御予約だけでもどうぞー。」
サンタクロースの格好をしながらの、クリスマスケーキ販売。
忙しく歩く人達に、
果たしてこの声が聞こえているか疑問だけど。
……とにかく、何より寒い。
顔に張り付いた笑顔も、そろそろ限界だ。
しかもこの服、ミニスカートだから寒いったらありゃしない。
……でも、お金を貰うんだから文句なんて言ってられないよね。
「桜井さん、お疲れ様。
これ、今日の分ね。」
「ありがとうございます!!」
店長から貰う、今日の給料。
働いたその日に頂ける給料を、今日も鞄にいそいそとしまった。
だいぶ貯まったなー♪
頭で、ここ連日で働いた分の給料を計算して思わずニッコリ。
…今まで、お金なんて稼いだ事なかったから。
当たり前のようにお母さんから貰っていたお金に対して、感謝が込み上げる。
実際は100円稼ぐのも大変なんだな…。
働くって…
お金稼ぐのって…
こんなに大変なんだ……。
改めて実感して。
あたしは店でお母さんに大好物のアップルパイを買って、急いで着替えた。
──…今日はこのまま、
チカさんとキョーコと待ち合わせしている。
「やっば、遅刻しちゃう…!」
簡単にメイクを直し、
大急ぎで待ち合わせ場所へと向かった。