DEAR 1st SEASON
「──彩ちゃーんっ!」
一際混み合う、あるビルの前。
そこに手を振るチカさんとキョーコが見える。
「ごめんなさい、
待たせちゃった…」
息切れするあたしを見て、
チカさんはニコッと軽やかに笑った。
「んーんっ♪
全然気にしてないよ♪
じゃっ行こっか♪」
──…三人共、白い息を吐きながら街にショップが集中する所へと移動する。
「………」
まだ何を買うか決めていないあたしはどんどん不安に駆られてきた。
「──…ねぇチカさん、
朝岡さんに何買うか決めました?」
「うんっ★決めたよー♪
大学生に必須アイテムの手帳♪」
「…えー!!キョーコは?」
「あたしはねー…
マフラーと手袋かな?」
………ガーン。
二人とも既に買うもの決まってるんだ。
えー…。
どうしよう……。
──…あたしが迷っている間に。
「──…おっ、
これ純が好きそう!」
……と、チカさんは朝岡さんに黒い革の手帳を。
「あっ!
これマサシに似合いそうー!!」
……と、キョーコもマサシにグレーのマフラーと手袋を。
……………。
──…残るは、
あっけなくあたしだけになってしまった。