DEAR 1st SEASON


「お待たせしました。

フルーツタルトとチョコレートケーキ、チーズケーキでございます。」




─…タイミング良く、
注文したケーキが来てあたしはホッと胸をなで下ろした。




大好きな紅茶にミルクを入れてクルクルと混ぜ合わせる。




──…まるで、今の複雑な気持ちを混ぜて無くならせるかのように。


 


「チカさんって、どういう成り行きで朝岡さんと付き合う事になったんですか?」




キョーコが更に二人の話題を広める。



そういえば…。

聞いたことがない。



朝岡さんに、
彼女がいるなんて事を知ったのもつい最近だし。




──…思い起こせば。




あたしは自分の相談ばかり聞いてもらっていて。




朝岡さんの口から、
“恋愛ごと”なんて聞いたことがなかったんだ。



いつもいつも笑っているけれど。



……本当は…

もしかしたら自分の事をあまり話さない人なんだろうか。





「んーっとねぇ…。

初めて純に出逢ったのは

三年前になるのかなぁ…。」




「三年前?

って事は高校生ですか!?」




「そうだね、今の彩ちゃんやキョーコちゃんと同じくらいだよ♪」




「……」




そうなんだ……。


あたしの知らない朝岡さんの過去。




……当たり前だけど。




チカさんは、
三年前から朝岡さんの事を知っているんだよね…。





「ちょうど純が生徒会長やってて…

あたしは書記だったの。


その頃から、

とにっっかく純はモテまくってて…。

もちろん本人はモテてるなんて全然気付いてなくってね?


自然に純の周りには、

いつも人が集まって来てたなぁ。」





チカさんは、
少し遠くを見るようにそう言って。





「もちろん、
チカさんも朝岡さんに一目惚れだったんですね?♪」




キョーコがニコニコしてそう言ったのとは正反対に。





「──…まさか。


あたしは純の事が

大っっ嫌いだったもん。」




「────……え?」





チカさんは悪びれもなく、アッサリとそう答えた。

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