DEAR 1st SEASON



───それからしばらくして。



時間は3時前。



もうすぐで映画が始まる。



あたし達はポップコーンやジュースを買ってプレミアムシートに座った。


プレミアムシートは普通のシートと違って、二人ペアで見れる席。


邪魔な肘掛けもなくて、ソファーみたい。


座ってから、
一気にテンションが上がった。




「すごーい♪
さっすがプレミアム!」



「あはは、これでマサシ達距離縮まればいいな。」




「そうだねー♪
でもさっきから見てるとかなりいい感じだったけど…」





喋っていると、
たちまち暗闇に包まれ妙な緊張感が走る。




「……」



息を呑むように、
暗闇からぶんちゃんの横顔を少し見つめた。





────と、その瞬間。





あたしの手が、
ぶんちゃんの手の温もりを感じた。




───…ドキン…。





胸が甘い痛みに震える。



平然となんてしていられずに、暗闇の中で一人笑みを零す。




────…好き。






映画が始まった。




この映画は、
中学の頃からずっと読んでいて大好きな作品。



だからずっとずっと楽しみにしていた。



………………のに。






「……や!彩!」





────パチッ。




目が覚めると、
もうみんな立ち上がり始めている。




………あれ?



何でもうエンドロール流れてるの?



あれ?あれれ………




まさか。


まさかそんな……






「寝顔、可愛かったよ。」




─────かぁぁぁあ!




寝てた?!?!



ウソ、どこで?



「……あ…は…」




真っ赤になって笑うあたしに、ぶんちゃんはフッと笑い返して。





「寝てても絶対手を放そうとしなかったけどな。」






そう言われ、

もっと顔が真っ赤に燃えた。

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