DEAR 1st SEASON

──…ドキン、ドキン…。



やかましい心臓が、
これでもかと言う程に音を奏でる。




……だって、
人にプレゼントなんて渡した事ないんだもん……。





ましてや、異性になんて。




──…彼氏になんて。




チケットを買い、
ぶんちゃんと共に観覧車の中へ乗り込む。





──…パタン。



閉め切られた空間に二人きり。




「………」




夜の宝石が窓からキラキラ溢れて……。




「…綺麗だな…」


「…うん…」



ぶんちゃんが窓から夜景を見つめ、静かに笑った。



───…ほんの数ヶ月前。




苦しくて悲しくて辛くて惨めだったのに。


今はこうやって隣で一緒の景色をみて笑い合っている。



──…一体、誰が想像した未来だっただろうか。





「───…ぶ、ぶんちゃん……っ!!」



「ん?」




───……カサッ………。





ずっとずっと温めていた、クリスマスプレゼント。



今までの溢れる思いと一緒に。



一番大好きな人に受け止めてもらいたくて、震える手で差し出した。

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