DEAR 1st SEASON
「チカさん…っ?!
どうしたんですか?!」
「………グス…ッ」
何も聞こえないケータイから、微かに鼻を啜る音が聞こえた。
──…泣いてる……?
どうして……
一体何が……
「チカさん!
今一体どこにいるんですか?!」
お願い。
答えて───…!
「──…公……園……」
くぐもった声が聞こえる。
それがチカさんの精一杯振り絞ったSOSだった。
「公園?公園ですね!!
今すぐ行くから待ってて下さい!!」
───…ピッ!
「彩?どしたの?
何かあっ……」
「ごめん!
ちょっと行ってくる!!」
「行くってちょっ…
彩?!?!」
──…そう言うと、
あたしはカバンをバッと無造作に持ち上げ教室を飛び出した。
冬風があたしの頬に突き刺さる。
こんな寒空の中、
どうしてチカさんは一人で公園に?
どうしてあたしに電話を…?
頭に巡る数々の疑問。
走っては考え、
考えては走り。
ようやく辿り着いた公園には───……。
「……彩…ちゃ…ん…」
寒い冬の公園に、
ただ一人。
涙をいっぱい溜め、
それを必死に堪えているチカさんがいた。