DEAR 1st SEASON
チカさんを見送り、
あたしは一人で曇り空の中を歩いていた。
頭に朝岡さんの笑顔が浮かぶ。
……あの優しい朝岡さんの事だ。
きっと何か理由があるに違いない。
そう…思いたい。
思っていたい。
あたしはまだ二人の可能性を諦めたりは出来なかった。
だから───…。
────PRRRR……。
思い切って、朝岡さんに電話を掛けた。
お節介だと怒鳴られてもいい。
でも……
あたしに何か出来る事ない?
朝岡さん
一人で苦しんでない?
本当は……
悩んでるんじゃないの?
ずっと、
ずっと一人で。
ねぇ朝岡さん…
あなたは優しい人だから。
一人で何でも抱えて、
悩みを口に出さない人だから。
チカさんを極力悲しませたくないと思っているんじゃないかな。
傷つけるのが怖いから。
ねぇ……
でも………
でもね───…?
自分を犠牲にしたりなんかしないで…?
二人とも傷つくだけだよ…。
──今、あたしが出来る事。
これしか思い付かない。
あたしには話しか聞けないかもしれない。
……でも
あたしが辛い時は何度も朝岡さんが助けてくれたでしょう?
だからあたしも朝岡さんを助けたいよ──…。
────その時だった。
───…プツッ……。
『────はい……』
ケータイから、
ひどく打ちのめされたような朝岡さんの声が聞こえた。