DEAR 1st SEASON




「…朝岡さん…」



『ん…?』



和らいだ声に、隠されている。


優しいけれど、

いつもと変わらないけれど


確実に弱り果てている朝岡さんの声。


そこには、普段の明るさが欠けていた。






「……聞いたよ…。」



『───……え……?』



「チカさんから…」




『…………』



「どうしてなの…?
朝岡さん、そんな人じゃないでしょ…?」



『………』



「……チカさんは朝岡さんの事好きなんだよ…?」




『………もう……
無理…やねん…』




「どうして──…っ」




『チカの傍に、もうこれ以上おられへん…

一緒におったら、

これから先もっとチカを傷付ける事になる……』






……そんな……。




もう二人の微笑み合ってる姿は見れないの?


何を口にしたらいいのか、全く分からずに。




「チカさんと…
ちゃんと話してね…?」




『……ん…
わざわざありがとうな…


ごめんな──…』






──自分が情けなかった。



そう言うのがやっとだった。


話を聞くだけなんてあまりにも無責任過ぎる。


大した言葉も掛けられずに。


大した力にもなれずに。




──…ただ、時間だけが残酷に流れて行った。




今頃二人は話しているだろうか。





───さらにニ時間後。




チカさんから一通のメールが届いた。





【受信メール】



From;チカさん

──────────



さっきの公園で待ってる




-END-
< 244 / 370 >

この作品をシェア

pagetop