DEAR 1st SEASON



───…カサッ…。




煌びやかな包装紙から姿を現したモノを見て絶句した。







─────…う…そ…






記憶が、あの日に逆戻る。







『──…ねぇチカさん、

朝岡さんに何買うか決めました?』





『うんっ★決めたよー♪

大学生に必須アイテムの手帳♪』







──────…そう。






包みから現れたのは、

あの日にチカさんが朝岡さんに買ったクリスマスプレゼントだった。






──そしてさらに、

クリスマスイブに記憶は戻る。







『あっ、はい!!

チカさんは──…』




『帰ろっか♪』





この、あまりに不自然なチカさんの返事。



立ち尽くしていた朝岡さん。



朝岡さんとチカさんの違和感がある態度。






────…まさか。





朝岡さんはあの時…



観覧車でチカさんにクリスマスプレゼントを受け取らなかったと言うの──……?






「───…そうだ…



そうだよ………」





だから……




だからチカさんはあたしに返事をしなかったんだ。






『……ほんと…笑える…



だからあの時も…』






たった今、チカさんが吐き捨てた言葉。





──“あの時”。






全て繋がっていく。






それは観覧車の中で。



見えない形ではあるけど、あたしは二人の間に存在していた事だったんだ……。







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