DEAR 1st SEASON
透明な水の膜から見える赤が、ゆらゆら揺れる陽炎のように見える。
……分かってるよ。
分かってる。
…切って許されるはずはない。
だって、
あたしの存在そのものがチカさんには邪魔なんだ。
…いらないんだ。
チカさんの痛みは、こんな生温い痛みじゃない。
もっと。
もっともっと痛かったよね──…?
こんな…
こんなもんじゃない─…!!!!
こんなもんじゃ──…!!
──…その時だった。
────♪♪…♪…♪
───ビクッ!!
ケータイが音楽を奏でて
イルミネーションの光が
真っ暗な部屋を照らす。
「…………」
着信相手など確認する事もしなかった。
ふらふらと機械的に動き、無意識に通話ボタンを押す。
────ピッ…。
『──…彩?』
「─────…ッ」
もう、条件反射だ。
名前を呼ばれただけで
こんなに胸が揺れるのは。
「───…ぶんちゃん…」
あなたしか、いない。