DEAR 1st SEASON
『今、彩の家の近くにいるんだ♪』
『………』
『あれ、びっくりしないの?』
『…………』
『………彩?』
ぶんちゃんの声色が急に変わる。
『…………』
ごめん……
ごめんね──…?
声…
出したくても出せないんだ──…。
『───泣いてるのか?』
『………』
────ゴトンッ…!
手からケータイが滑り落ちる。
あたしの白いケータイは、
自身の血で赤く染まって色を変えていた。
「───…─…──!!」
通話が切れていないケータイから、ぶんちゃんが何か叫んでいるのが聞こえる。
───ガタン!
そう思っているうちに、
下で玄関のドアが開く音が聞こえた。
バタバタという足音、
そして───…。
「彩!!!!!!」
そして瞬く間にあたしの目から光が消えた。
気がつけば、
あたしはいつの間にかぶんちゃんに抱きすくめられていた。