DEAR 1st SEASON
第11章 愛の果て
第11章 愛の果て
第11章 愛の果て
───…ふわり。
ぶんちゃんの香水の匂いがする。
…ぶんちゃんが目の前にいるんだね……?
じゃあ…
やっぱりさっきの事も夢じゃないんだ……。
「な…に…してるんだよ…」
ぶんちゃんが短く口にした。
広がる血の海。
手首から垂れる血の雫。
血塗られたケータイ。
握り締めるカッターナイフ。
「…………」
声が、出ない。
どう話せばいいんだろう。
何を説明したらいいんだろう。
ただ溢れ出るのは涙と血だ。
「──…話して…?
大丈夫だから……」
ぶんちゃんがあたしの手首にタオルを当て、止血しながら…………
泣きじゃくるあたしを落ち着かせるようにゆっくりそう言った。