DEAR 1st SEASON



家に帰宅し、ぶんちゃんと一緒に食事を囲む。


食欲がないあたしを気にしながらも、ぶんちゃんは色々と話を進めてくれた。




「彩はよく料理とか作るの?」


「うん、作るよ。」




──…幼い頃から料理が好きだった。


料理上手なお母さんの背中を見ながら、沢山の料理レシピを覚えた。


……お菓子作りは苦手だけど。



「じゃあ得意な料理は?」



「えっ?うーん…

そーだな…。
シチューとかハンバーグ…?」



「へー…食ってみたいな、彩の料理。」




──…ドキン…。


そんな可愛い目で見つめられたら、嫌なんて言えない。




「…いいよ…?」


「じゃあオムライス作って?」


「オムライス?」


「うん、卵ふわふわの。」



そう言ったぶんちゃんが可愛いくて愛しくてたまらない。




「ふふっ……
オムライスとかお子様だね…?」



「…そーかな?」



「じゃあふわふわにデミグラスソース付きはどう?」



「おー好き好き!
マジで作って!」



「…ん、約束ね。」




──…そう笑い合って、指切りをしたあの冬。




あの人は覚えているかな。



あたしは……


あたしはまだ覚えてるよ…。

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