DEAR 1st SEASON



──ピロロン♪ポロロン♪


複雑な事を考えているのに、耳に入ってきたのは間抜けな音楽。



──…そして、


『お風呂が沸きました♪』

というアナウンス。




「彩、風呂入ったら?」



「えっ……」




───ドキン…。


高鳴る胸に、落ち着けと言い聞かせる。



……けれど。


その反動なのか、
寂しいと言う感情が胸に広がっていく。





「……それとも……




──……一緒に入る?



………なーんてな。」





───ポンポン。


頭を優しく撫でられ、ぶんちゃんが笑う。





………………。




どうしてなんだろう。

どうしてこうも矛盾するんだろう。


離れるぶんちゃんの手さえ、今は寂しい。



寂しい──……。








「………る………」




「───え?」





「──…いっ……


一緒に入りたい──…っ」





──…涙をこらえた。


ぶんちゃんの手をギュッと握って、ありったけの言葉を伝えた。





離れたく、ない。



片時も。

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