DEAR 1st SEASON




───……あれは中学3年の春だった。




桜が今みたいに綺麗で、爽やかな春風が気持ちよかった季節。



一番仲が良かった由梨がバスケ部に所属していたので、あたしはよくバスケ部に顔出しに行っていた。




『───由梨っ♪

また遊びにきたよん♪』


『あっ彩★

今ちょうど練習終わったとこなの♪

ちょっと遊んでく?』



『うんっ!!!!♪』




───由梨がキャプテンのバスケ部。



あたしはよく、練習が終わる頃合いを見計らって顔出ししていた。





────ダンッダンッ…!




体育館に響くボールの音。




─────ガンっ!




いつものようにパスしながらシュートをしてゴールを決める。




……単純なことだけど、シュートが決まったら嬉しい。




『やったー♪

ナイスシュートっ♪』



『んじゃ、彩、もう一回やる?』



『うんっ♪』




────…チラ……。




そこで何となく横を見ると、男子バスケ部が横で練習しているのが見えたんだ。




────ダンッダンッ…!





『……今日は男子と合同だったんだね。』



『あ~、うん。雨だったからね。』




『あ、そっか。』




───…外は雨。



雨だと、体育館を必然的に男子と女子が分け合って練習するのがバスケ部の決まりだった。




─────ダンッダンッ!




………へー……。



男子がやってるバスケはやっぱ迫力あるなぁ……。




………なんて。


いつもより圧迫感を少し感じながら、あたしは由梨とシュートとドリブルの練習を始めた。


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