DEAR 1st SEASON



「──ほんなら出発すんで?」




「うっ、うん♪」



朝岡さんがハンドルを握り、ゆっくり車が動き出した。


エスティマは、キラキラと宝石のように輝く夜道を走り始め─…。




「……うわぁー…」




しばらく車が走り続けて辿り着いたのは、外観がすごくあたし好みな有名なイタリアンの店だった。



建物からしてもお洒落で、中がこれまた叫びそうに可愛い。


カーテンやテーブル、キャンドル。

全てあたしが好きなアンティーク一色で。




……ヤバい……

何だこの可愛いさは…。




一人キョロキョロしているあたしとは違って─…。



 

「すいません、予約してた朝岡ですけど……」



いつの間にかあたしの隣からいなくなっている朝岡さんの声に気がついた。


店の奥で朝岡さんと店員さんが話しているのが見える。




って……。



───…予約……?




まさか─……。


わざわざここ予約してくれたの……?


だってさっきお昼にメールしたばっかりだよ…?


あれからすぐに予約してくれたの……?




「彩、こっちやって♪」



笑顔で手を振る朝岡さんの見えない小さな優しさが…



バカみたいだけど…


嬉しかったよ──…。


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