DEAR 1st SEASON

───…それから、

しばらく車は少し険しい山道を走り始めた。



どこに行くんだろう…。


朝岡さんを信用しているけど、ちょっと不安だったりして……。




って失礼かな……?





「彩、着いたで♪」



「……へっ?」




朝岡さんが車のエンジンを切って、外を指差した。



顔を上げると──…






「────……えっ…」




息を呑んで言葉を失った──…。




ここは、山の頂上付近。



そして前を見ると、


何千という光が織り成す夜景が、キラキラ色鮮やかに輝いている。



まるで、宝石箱をひっくり返して散りばめたみたい──…。





「……すごい……っ」





車外に出て、
放心しながら夜の宝石を見つめていた。





「せやろ?

俺の秘密の場所♪」





朝岡さんが車をロックし、楽しそうに笑う。




「本当にすごいね…。

感動だよ──…」




「寝ころんだらさ、

星も見えるんやで♪」




「ほんとっ?」




「うん、ほらこっち来て寝てみ?」




「うん!!」





──…そう言って、
朝岡さんはゴロンと芝生に寝転ぶ。



あたしも同じように寝転び、また違う景色を見つめた。





「───…わぁっ……」





朝岡さんの言う通り。



沢山の白い煌めきが空を彩っている──…。



天と地の輝きに挟まれ、あたしは言葉を失った。





───…すると。




「…昔からさ…

何かあったらここに来ててん…」





朝岡さんが空を見上げたまま、呟くように話し出した。


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