DEAR 1st SEASON




「……なに…言って……」



「……言って…?

そしたら…
俺…諦めつくから…」




「……無理…無理だよ…」




言えない……


言えないよ──…


言える訳ないじゃない…





「言って…

お願いやから…」




「……や…やだ…」





「──言え!!」





───ビクッ!!




朝岡さんと目が合う。



その黒い瞳からあたしは逃げ出せない。




どうして─…



どうしてなの……?



嫌いじゃないのに……



好きなのに──…





朝岡さん………




あたし──……



あなたのこと─……








「……ら…い……」




「聞こえへん。」





「きらい……



朝岡さんなんか……




大っ嫌い!!!」






──…そう言うと、



朝岡さんは切なく笑った。






「──…ありがと…」





……そう呟いて。


今にも泣きそうな笑顔で──…。






──…ねぇ朝岡さん…





大嫌いって言われて




“ありがとう”なんて──…





今考えたらさ……



やっぱり変で


おかしくて──…


泣けてきちゃうよ─……





あの時、



あんな…

あんな嘘ついて─…



ごめん……っ



ごめんね───…。


< 292 / 370 >

この作品をシェア

pagetop