DEAR 1st SEASON


「───…じゃあ、また」


「…うん…ありがとう…」




車から降り、窓から朝岡さんに手を振る。





「俺さ……


ずっと彩の味方やからな?


その座は譲らんで?」




「──…うん…

ありがとう…。」




また涙が零れそうになる…。


嘘でもお世辞でも…


それだけで十分だよ…。





「───…じゃあ…」





朝岡さんがあたしに別れを告げ、笑顔で帰っていった。



いなくなるまで朝岡さんの車を見つめ、何度もありがとうと呟く。





「……はぁ……」





ポケットからアメジストを取り出して一人で見つめた。



きっと昔のあたしならこの時点で自分を責めて、切りたい衝動に駆られているだろう。






「…もうしないって約束したもんね──…?」






そっとアメジストに語りかけた。



……ほら、少し。



あたしは強くなれている─…。

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