DEAR 1st SEASON
……学校が終わり、帰り道。
肩を並べて帰宅するぶんちゃんが口を開いた。
「なぁ彩。
次の部長ってマサシでいいと思う?」
「……えっ…」
「ほら、俺もうすぐ引退だからさ」
……………。
そうだ……。
ぶんちゃんは高3。
つまり、受験生真っ只中。
ぶんちゃん達の引退の時期がすぐそこに迫っていた。
……嫌だ……
寂しいよ……。
実際、ぶんちゃんは受験勉強でなかなか会えない日々が続いていた。
「……いい…と思うよ…」
不安になる。
取り残されている気がするのはあたしだけなのかな…。
「どうしたの、何か暗い顔して。」
「……いや、ちょっと進路でね…
そーいえばぶんちゃんって進路どうするの?」
あたしが聞くと、ぶんちゃんは少しだけ視線をはぐらかして教えてくれた。
「理学療法士の学校目指してるよ。」
…理学療法士?
「…ってあのリハビリとかする人……?」
「そうそう♪」
医療の道に進むんだ…
何かすごいなぁ…
「どうして理学療法士になろうと思ったの?」
「ボランティアとか好きでさ、小学校ん時に興味持ったんだ。
──…それに…」
「…それに?」
「事故に遭った時にリハビリ受けて、俺すげー励まされてさ。
俺もそんな理学療法士なりたいなって思ったんだ。」
………ぶんちゃんが輝いて見える…。
みんな夢持ってるのに…
あたしは具体的に何なりたいかとか……
ない──……。