DEAR 1st SEASON


「あっいたいた!!

彩ーっっっ!」




振り向くと、キョーコが手を振ってあたしを呼んでいる。




「キョーコ?どしたの?」



「んっとね、お誘いに来たんだぁ♪」



「…お誘い?」





頭に“?”が浮かぶ。


何だそれは…?





「あのね、三年生のお別れ会しようってみんなで話してるんだ♪」





……お別れ会…?


って…




「ぶんちゃん達の……?」





「うん!!

海でバーベキューしてパーッとする予定なの★

みんな来るから彩も来て?」





「…う、うん。」




少し俯いて返事をするあたしに、キョーコはハッと気付いたように顔を上げた。




「……あ……
あの……

朝岡さんとチカさんにも一応声掛けたんだ…。」




…………



キョーコの顔色が一気に曇ってしまった。






「やだな、あたしの事は気にしないで?

行くから大丈夫だよ♪」




キョーコはパッと顔を上げ、




「ごめんね、気が利かなくて」



と申し訳なさそうに告げ、去っていってしまった。






「…ったく、ほーんと気が利かないって。ねぇ彩?」




ナナが腕を組んで少し怒ったようにそう言う。





「もーいいよ、あたしが悪いし仕方ないって」




力無く笑うと、
ナナはぎゅーっとあたしを抱き締めた。




「よーし!

バイト頑張ろうねっ!」




「…………」




何か…

ちょっと違うんですけど…。




まぁ…いいか……。

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