DEAR 1st SEASON




「“ぶんちゃん”って、あだ名不思議じゃなかった?」





ユウキさんが煙草に火を付けながらそう尋ねた。



──……




あたしもずっと不思議だった…。





“高山 英寿”



このどこから“ぶんちゃん”というあだ名がついたのか。




謎の解明を求めて、
あたしはユウキさんを見つめた。





「文山だからぶんちゃんってあだ名なんだよ。



確か小学校ん時に親が離婚して……。


今“高山”なワケ。」





離婚──……。


知らない事実に目を細める……。




そうか……


だからぶんちゃんってあだ名の由来聞いた時も…




『そんな感じ』





そうやって軽く流されたのを思い出した。



きっと…

話したく…なかったんだ…。




現に付き合ってる今でさえ、話してくれようとはしない。




ユウキさんはふわふわと白い煙を吐き出して、話を続けた。





「そっから俺は引っ越して違う中学行ったんだけど…



聞いた所によると、
中学は登校拒否だったらしいよ。」





──登校拒否?




あのぶんちゃんが─…?




「…………」




考えられない事実に、頭が付いていかない。





「何でか理由は知らないけどね。


…さっ、俺休憩終わりだから行くね。」





ユウキさんは煙草をギュッと灰皿に押し当て行ってしまった。

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