DEAR 1st SEASON



「ぶんちゃん、それ何?!」




派手に遅刻したぶんちゃんの手には、抱えきれない程の花火が─…。




「みんなでやりたいなと思ってさ♪

ってか遅れてごめん!!」




ぶんちゃんが手を合わせて謝る。


…ぶんちゃんらしいな。


みんな遅くなったぶんちゃんに文句を言うも、本心は怒ってはいない。





「…あたし、半分持つ。」



「ありがと」




ぶんちゃんの花火を抱え、先を歩くみんなに二人でついて行く。




「すっごい量だねー…」



「ちょっと買いすぎたかな…花火屋の前通ったらみんなでやりたくなってさ…」




子供みたいな言い訳をするぶんちゃんに笑ってしまった。




そんな…



優しいあなたが大好き。





──…しばらく歩き、

見えてきたのは白い砂浜と青い海。





みんな海が見えると大興奮。



すぐに水着に着替えて海へと飛び出した。





あたしも覚悟を決めて水着へと着替える。



太陽に照らされる水着姿のぶんちゃんが今日は一際眩しい。





「ぶんちゃん!」





ぶんちゃんは水着姿のあたしを見つけると、ギュッと抱き締めた。




えっ……!?




「あーもう!

水着姿誰にも見せたくない!」




──…そう言って…。





あたしの手にリストバンドを手渡した。





「……これ……」




突然の出来事に驚いてぶんちゃんを見つめる。




「手首の傷、気にするかなぁと思ってさ…

ホラ、俺も付けてるから。



お揃いでしてるんだってみんな思うし…。

怪しまれないかなぁってさ…」





ぶんちゃんが右手を見せた。




お揃いのリストバンド…。





きっとぶんちゃんなりに気を使ってくれたんだろう…。




「ありがとう…」






胸に熱い感情が溢れる…。




あなたなりの─…




精一杯の優しさを感じた……。

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