DEAR 1st SEASON




男性経験がないあたしにとって、話しかけられた刺激は強かった。



知らず知らずのうちに学校で亮の姿を探すようになり、


バスケ部の練習は亮を見るために行き、


授業中は亮の事を考えるようになった。





───…“初恋”。




ものの見事に、恋に落ちた。


自分でもびっくりするくらい、急速に。


話しかけて、話し返してくれる。



何気ない会話に幸せや嬉しさが込み上げ、ついに思いが爆発した。





───…『好き』。




…そう告げた。




返った返事は、


『───嫌いじゃない。

むしろ好き。』




───…そう、曖昧な返事。




ハッキリ付き合おうなんて言われてないのに、あたしは付き合っていると思っていた。



……それは勝手だったかもしれない。



でも電話もメールもくれる。


『好き』と言うと『俺も』と返してくれる。




だから───……。




自分が“都合のいい女”っていう立場なんて、思ってもいなかった。

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