DEAR 1st SEASON




「───…はぁ……」





あの旅行から帰って来て以来、ぶんちゃんとなかなか会えない日々が続いた。



ぶんちゃんが卒業するまで、あと数カ月。




あたしは──…



東京に行くまでの間、

少しでも時間があれば会いたかった。




なのに……



ぶんちゃんは違うの…?



ドタキャンだって多いし、ここの所ずっと会っていない…。



ぶんちゃんは寂しくない……?





あたしは寂しい




寂しいよ………








募る苛立ちを抑え、スタッフルームのドアを閉める。


中には仕事上がりが一緒のタイチさんが座っていた。




「彩ちゃんお疲れ様♪」



「…お疲れ様です…」




サッとタイチさんの前を通り過ぎ、着替えに入ろうとした瞬間。






「───ねぇ彩ちゃん。」





急にタイチさんの声が聞こえ、あたしの足を止まらせた。





「……はい……?」




「彩ちゃん今から暇?

良かったら一緒に飯でもどう??」




「…………」






───…タイミングが悪かったとしか言いようがない。




ドタキャンされてイライラしていた腹いせに……





「いいですよ。」






あたしは──…



そう言ってしまったんだ…。





これが大きく運命を変える返事になるとは思いもしないで……。


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