DEAR 1st SEASON



───…パカッ…。




ケータイを開いて、まだ希望を探してる自分が滑稽で笑える。



ぶんちゃんからの連絡なんてないのに──…。



同時に苛立ちがまた湧き上がる。






「………」






もう、いい。




虚しさから、あたしはそこでケータイの電源を落とした。






「彩ちゃん、好きなだけ食べてね!!」





目の前には、あたしが好きな料理がズラリと並んでいると言うのに…





「…ありがとうございます…」





食欲が一切湧かない…。



出るのは溜め息ばかり。



浮かぶのは消えぬ罪悪感ばっかり…。






「──…彩ちゃんさぁ、最近なんかあったの?」



「……えっ…」



「だって最近シフト入ってないのに誰かに変わってもらったりしてるじゃん?」




「………」





「──彼氏、とか?」







……やだな…。



聞かないで欲しい…。





「……そんな訳…ないじゃないですか…」





弱々しく飾る嘘。




……誰も……


誰も入って来て欲しくなんかない。





話したくなんかなかった。




──…誰にも。


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